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栃木県透析・糖尿病 医療連携フォーラム

2018.11.29 ブログ

栃木県透析・糖尿病 医療連携フォーラム

会場 宇都宮グランドホテル
協力企業 キッセイ薬品工業株式会社

特別講演1
演者 自治医科大学附属病院 内科学講座 腎臓内科学部門 透析部
教授 齋藤 修先生
「透析患者の栄養管理を考えたリンコントロール」

血清リンが高いと予後が不良であるが、低すぎても予後が不良である。同じ食事摂取量で透析4時間未満は死亡率が上がるが、6時間以上も4時間ベースに比べ1.2倍の死亡率となる。過剰な透析による低栄養も問題である。
透析患者で体重60kgでタンパク質摂取は体重1 kgあたり1gの摂取といわれています。1gのタンパク質あたり15mgのリンが含まれており、1日900mgのリンを摂取します。そのうち540mgが体内に吸収されます。1週間では約3800mgが吸収されますが、週3回4時間透析をする事で3000mgが除去されます。残りの800mgなら透析時間の延長などの効率を上げる事でコントロールできるかもしれません。
ただ低栄養にならない為には、タンパク質摂取を体重1kgあたり1.2gにすると、過剰なリンが更に増えてしまいます。その過剰なリンを透析を高効率にするだけで除去するのは効率的ではない。
過剰なリンは、適正にリン吸着薬を使用していくべきである。
骨に対する管理も重要であり、副甲状腺ホルモン(i-PTH)の値だけではなく、破骨細胞、造骨細胞を測定して、何が低下してるのか、亢進してるのかを見極め、適正な治療が行えることが望ましい。

特別講演2
演者 群馬大学生体調節研究所分子糖代謝制御分野
教授 藤谷 与士夫先生
「生活習慣病における亜鉛の新しい役割」

・インスリンと亜鉛は密接な関係があり、インスリン構造の中に亜鉛が含まれている。
・糖尿病患者は尿中の亜鉛が増える。
・亜鉛は必須栄養素である。

亜鉛欠乏症になると、成長遅延、食欲不振、免疫力の低下、味覚障害、貧血、生殖機能不全等が引き起こされる。
亜鉛の摂取は経口摂取がメインで、肉、魚、種実類に含まれており、特に牡蠣に多い。
吸収は、十二指腸、空腸、回腸である。血中では、アルブミン、α2-マクログロブリンに結合して輸送される。肝臓から各臓器に移行します。
糞便、尿、汗で排泄されていきます。

日本人は亜鉛不足の人が多いと言われています。
また、糖尿病患者は、潜在的に亜鉛欠乏の可能性がある。
尿中排泄量が多い他、偏食やファーストフードの問題、薬剤性亜鉛欠乏症の可能性(味覚障害が多い)である。
他にも多数の疾患別に亜鉛欠乏になる症例を紹介していただきました。
亜鉛は肝臓でのインスリン分解を制御したり、肥満への治療の役割も考えられている。

亜鉛欠乏症の診断基準ができ、医薬品による亜鉛が多数発売され、補充療法ができるようになったので、採血検査で適正に評価され、欠乏に対しては補充する事がいいでしょう。

院長ブログ/小山すぎの木クリニック

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