2020.3.12|院長ブログ
歯と長生きについて ~歯の綺麗な美女が長生きするわけ~
美女がニコッと笑った時、白い歯がピカッと光り、胸がドキッとした少年時代、男なら誰しも経験ありませんか?
さらに、皆さんよく経験があると思いますが、例えば50代になり小学校時代の同窓会に出掛けたりすると、ほとんどがおばさんになって、肌もすでに中年の肌になっている中、全然年をとっていない、ひときわ目立つ美女が一人や二人いるものです。よく見ると小学校時代から可愛く、憧れていた初恋の女の子だった、ということも多いと思います。かわいい女の子は年をとらないのか?遺伝的に可愛い子、美女は特有な老化防止遺伝子を持っているのでは?と思ったことはありませんか?
その代表は女優の八千草薫さんや吉永小百合さん、このお二人の若い頃は、巷の男性のお嫁さんにしたい人ランキングではいつも首位であり、また現在、理想のおばあちゃん部門でも一位、二位を独占しています。最近ではハイボールのコマーシャルで見る、井川遥さんは、あの白い歯の笑顔が大変印象的で素晴らしい美人と個人的には思います。(その他いろいろいらっしゃると思いますが、個人的には上記御三方が、私がすぐに思い浮べることのできる美女でございます。)3人に共通しているのは笑った時の歯および歯茎が大変美しいことです。
これから、憧れの白い歯や、美しいピンク色の歯茎は、魅力的というだけではなく、肺炎や動脈硬化、心筋梗塞にならずに長生きができ、いいこと尽くしだというお話をEBM(Evidence-Based Medicine)に基づいて説明いたします。
今回のテーマについて、もとより私は歯医者さんではありませんので、あまり自信を持ってお話はできませんが、鳥居薬品のWebセミナー(植野高章教授のご講演)を聴き、口腔ケアがいかに大切かを実感しました。
先生のお話を要約しますと以下になります。
①九州歯科大学岩崎先生の発表では、70~80歳の10年間に歯を28本維持しているグループは、歯が減少しているグループに比べ総死亡数は有意差をもって明らかに低下しています(P=0.02)(日本口腔衛生会誌69:131-138、2019)。
また中国の文献でも29584名を15年追及したところ、歯を喪失しているグループは明らかに 消化器ガン、心臓病、脳梗塞が多いとの報告があります(Abnet CC Et al..INT J Epidemiol 34:467-474,2005)。
日本でも65歳以上、4425名を対象とした調査で、歯が19本以下の人は20本以上のグループに比べると心臓病および肺炎による死亡リスクが有意に高いことが示されています(Aida et al:J Den Res90:1129-1135,2011)。
②植野教授グループの最近の研究によると、歯垢からとってきた細菌をマウスに注射するとマウスの血管は動脈硬化が著明に進行すること。かつ動脈硬化の患者は口腔内の特異的な細菌と関係があったこと等を最近のアメリカ心臓病学会で発表したところ、すごい反響があったとのことです。
歯を失う原因として、喫煙や低栄養による歯槽膿漏、虫歯が多いと考えられます。
正常な歯を持っているグループ(A)と歯が少ないグループ(B)について検討した結果、Bグループは圧倒的に男性が多くかつ喫煙者(P<0.05)が多いことが判明しました。毛細血管を含む動脈硬化はすべての細胞、皮膚の細胞を傷めます。動脈硬化を予防することは美貌を維持するための最も大切なことです。美貌を維持する方法は色々あると思いますが、虫歯や歯槽膿漏を予防し、歯をきれいにしておくことは大切です。
したがって、若く美しい人が優雅にたばこをくゆらす姿はそれなりに美しいとは思いますが、医学的には、動脈硬化を助長させ、高齢になった時、八千草薫さんのような姿にはなれない気がします。さらに、その他様々な理由からも女性の喫煙はお勧めできません。
至極当たりまえの結論に落ち着きましたが、歯をしっかり維持するための口腔ケアは美容を維持する意味でも大切な習慣と思います。
女性でなくても、男性も同様です。ぜひ頑張って口腔ケアをしてください。
2020.1.6|院長ブログ
新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。
開院22年間、当院の一貫した目標は、患者様にいかにしてより良い透析、つまり動脈硬化を防ぎ、かつ快適な透析をするのかということでした。
そのため、可能な限り患者様のご意見を伺い、スタッフと真剣に検討し、次のことを実現してきました。
*透析のない日は、体を動かし、筋肉や関節を丈夫にするためのリハビリが絶対に必要なので、デイケアWaki愛愛と居宅介護支援WAKI愛愛を開設しました。
*仕事と透析を両立させる必要が絶対条件である患者様のために、夜間にできる透析を6年前に発足させました。夜間透析はスタッフへの過重労働を強いる大変な仕事です。そのため、全国4300以上の透析施設のうち、夜間透析を行う施設は、40にも満たない状況です。東京、横浜を含めても関東地方ではわずかで、栃木県では当院しか実施しておりません。しかし、患者様のご事情を理解し、当院スタッフは誰一人反対することなく進んで夜間勤務を引き受け、しっかりと日々の仕事をこなしてくれています。そんなスタッフに本当に感謝しています。
当院は、患者様全員が90歳以上に長生きしていただける透析を目指し、ガンの早期発見、動脈硬化症の進行の予防、心臓弁膜症(特に大動脈弁狭窄)の予防に努めています。その結果として、筋肉や骨が頑丈になり、山登りをしても息が苦しくならない等、若いころと変わらない丈夫な体になり、毎日生き生きとした生活を送っていただきたい。そのために、CT,MRI,SPP検査など、最先端の技術を取り入れ、最高の専門医に担当していただく、日本一の透析施設を目指しています。
当院スタッフも日本一を目指して、日々勉強に励んでおります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
2018.1.24|院長ブログ
胸の痛みについて
今回はメタボの動脈血管障害の行き着くところ、一番怖い心筋梗塞を含め、胸の痛みについて考えてみます。
太ったお父さんは、ぷよぷよしたおなかをお風呂で擦りながら、「そろそろ子供も学校に行くし、長生きしなきゃ嫁さんや子供がかわいそうだから、少し運動でもして痩せるか!」と一念発起し、風呂場の体重計の上で誓っているはずです。しかしそのうちの何人が実行できるかというと、外来を受診するメタボ様方を拝見していると、心もとない状況です。じきに、寝ている時に、忙しく働いている時に、胸の痛みがきます。そうなると大部分のお父さんが、「やはり狭心症か心筋梗塞では?」と青くなって来院されます。「先生、急にズキンと胸が痛くなって、心配だから調べてくれ!」とやや照れながらも目は真剣に訴えて来ます。当院での経験ではズキンが1回ぐらいではまず狭心症ではありません(例外は否定できませんが!)。すぐに心電図をとります。大部分のメタボの患者さんは、心電図に異常がなく、狭心症は考えにくく、その場合本当は心電図をつけて運動をして変化があるかを検討するべきですが、多くの患者さんは面倒なため、嫌がります。そのためホルター心電図といって、胸に簡単な電極を1日付けてもらい、胸痛があった時に心電図に変化があるかどうかを見ます。「思いっきり走ったり、運動をしっかりして変化を見ましょう」と伝えますが、大概の方は、心電計をつけると静かにしており、あまり動きません。またほとんどの方がその間、胸痛発作は起こしません(これはあくまでも当院だけの経験です)。ここまで行うとお父さんも少し安心します。
しかし、ここで安心してはいけません。このような場合、胸部・腹部のCTを撮ります。するとどうでしょう!心臓に、白い線が見えます。これは冠動脈石灰化といって、冠動脈が細くなっている証拠です。かつ腹部の大動脈にも結構白い線が見えます。やはり動脈硬化が人知れず進行しているのです。さらに首に超音波をあてると、頚動脈の内側がコンモリ盛り上がっています(これをプラークと呼んでいます)。これがあるということは当然全身の血管も同様な所見があると考えていいと思います。こうなると俄然今までの不摂生を後悔します。テレビのCMに出てくる保険にでも今から入ろうかと迷う時期で、座して死を待つ心境になってしまいます。
でも、安心して下さい。最近の報告では、悪玉コレステロール/善玉コレステロール比を1.5以下にすると冠動脈内のプラークが小さくなる事がわかってきました。このような場合、医者に言われた通り、コレステロールを下げる薬をしっかりと飲んで下さい。またタバコは絶対に吸わないで下さい。そして適度の運動とダイエットをして、メタボを退治して下さい。そうすれば脳梗塞、心筋梗塞はかなり予防できます。このようになった場合、是非心配せずに医者の言葉に耳を傾けてください。
胸の痛みについては、狭心症以外にいろいろあります。胸痛があった場合、以下のことを思い出して下さい。
●狭心症の痛み/特徴は、まず心臓が掴まれたような痛みが2~3分、少なくとも5分以内には消失します。それ以上続けば心筋梗塞の疑いが強くなりますので、大至急救急車を呼んで、循環器内科と書いてある病院に行って下さい。仮に心筋梗塞でなかったとしても、大丈夫、笑って言えばいいです、「よかった!」と。その他糖尿病の方は痛みがないこともありますので、ドキドキして気分が悪い場合、同様にして下さい。
●逆流性食道炎(逆食といいます)の痛み/狭心症の胸痛と間違えるのは、逆食です。逆食は食道ヘルニアがあると成り易く、胃酸が食道に逆流して、食道に炎症を起します。食道は心臓の真下にあるため、胸痛が起こります。同時に多くはゲップや胸焼けがありますので、消化器の先生にご相談下さい。最近はとてもいい薬がありますから安心して下さい。
●帯状疱疹の痛み/ヘルペスウィルスが肋間神経に侵入すると、ズキンズキンと片頭痛の様な感じの痛みが胸にきます。1週間もすると皮膚にツブツブが出現して、その場所がピリピリしてきます。特効薬があり、早く飲めば早く治ります。ひどくしてしまうと半年以上痛みが続くことがありますので、できるだけ早い治療が必要です。たいてい風邪をひいたり、睡眠不足、ダイエット、糖尿病などの免疫力が低下した場合に現れますので、なった場合はしっかり食べて、よく寝て下さい。
●肺がんの痛み/これはタバコとは関係ない、中年女性に比較的多い、「腺癌」があります。腺癌の多くは胸膜に浸潤するため、呼吸すると痛みが変動することがあり、かつ心臓と遠い場所にできた場合、明らかに狭心症とは異なるとわかります。胸部レントゲンでは小さいとわかりにくく見逃す確立が多いため、疑われたらCTの撮影をお勧めします。
●その他の痛み/多くの痛みの疾患(乳がんを含め)はありますが、内科では以上の疾患が多く見られますのでこれを参考してお医者さんにご相談ください。ただし若い女性(乙女)の胸の痛みは当方ではわかりませんので、ご両親、ご友人にご相談下さい。
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