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第22回バスキュラーアクセスインターベンション治療(VAIVT)研究会

2017.3.4 ブログ

第22回バスキュラーアクセスインターベンション治療(VAIVT)研究会

平成29年3月4日(土曜日)8:50~16:30
都市センターホテル

「第22回バスキュラーアクセスインターベンション治療(VAIVT)研究会」に参加して来ました。今年は例年の混雑している経験から、早朝に会場入りし運良くメイン会場の椅子に座れました。非常に人気のある会のため、今年も多くの参加者の姿がありました。
多くの演題がある中、今年は2班に分かれ、素晴らしい演題の数々を興味津々聞いて来ました。

PTAはVAIVTと総称され、その利便性と臨床的有用性を背景に広く普及を遂げています。一方、VAIVTに参画する診療科も多様化し、透析現場でのVA管理にかかわることなくVAIVTのみを施行する病院施設も増加しているのも事実です。「効果的なPTA」とは透析現場のニーズを満たし、かつ良好な治療成績を担保することであるが、医療経済的にも受容可能なものでなければならないと思います。すなわち「効果的なPTA」とはVA機能の早期回復と医療経済をも視野に入れたVA長期開存の達成であり、これらにとって重要なことは日常的なVAモニタリング、VA不全に対する治療環境の構築、標準的VAIVTの確立とエンドポイントの認識および連携病院の外科との連携、長期成績の向上を目的とした治療戦略の確立と私は考えます。

日常的モニタリング:閉塞など病変の複雑化は治療成績を低下させるのみならず、治療の長時間化や複数の治療用デバイスの使用など、患者および医療経済の両者に負担をかけることとなります。ですので「効果的なPTA」達成には病変の早期発見・治療が重要であり、そのためにはVAの日常的観察と管理が必須となります。

VA不全に対する治療環境の構築:VA閉塞発症の予測は困難であり、狭窄病変のみが待機的VAIVTの適応となっているのが現状です。閉塞症例ではVAカテーテルの使用を回避する上でも48時間以内の緊急的対応が理想であるがVAIVTまたは外科的修復術、何れの治療法を選択するにせよ随時対応可能な施設の人員確保、治療体制の構築が大きな課題となっています。

標準的VAIVTとエンドポイントの認識:術者や施設の多様化による治療成績の格差を是正するためにはVAIVTの標準化が必要でしょう。標準的手技に立脚した新たな治療戦略の構築と評価によって「より効果的なPTA」が達成されると考えられますが、一方では自施設におけるVAIVTのエンドポイントを認識し、外科的治療へ移行させる決断も重要となり得るでしょう。

長期成績の向上:VAIVT最大の欠点である再狭窄に対しStentなどが有効との報告もありますが、これらのデバイスは高価であり費用対治療効果について検証するとともに再狭窄予防に対し効果的な手段を確立する必要があると思います。

これらのように「効果的なPTA」は病変の解除のみならず、多くの要因を改善することによって達成可能と思います。つまり、ハード面(技術)な進歩があっても、ソフト面(モニタリング)の改善もより良いVAIVT治療に影響すると思います。我々、コメディカルには行う医療技術に限りがありますが、自身の医療資格範囲で行える医療技術をフル活用し、早期の異変病変を見つけ出すこと、患者に教育していくことをスタッフ全体で取り組む必要があると強く感じました。

2012年4月よりVAIVTが保険収載され、これまでよりもはるかに高額な手技料を請求できるようになった。その一方で、いわゆる「3ヶ月ルール」という、3ヶ月以内に再狭窄を認めVAIVTを施行した場合には、手技料のみではなく材料費も請求できない状況となった。これは大きな問題で、短期間に再狭窄を繰り返す症例は少なからず存在し、より長い開存期間をいかにして得ることができるかということに、ここ数年これまで以上に大きな関心が寄せられている。当院も、いかに長持ちをさせるかを考え、海外のフィラピーなども保険が適用されないが、効果があるなら検討してみたいとか、加賀さんがベッドサイド行っている簡易PTA(略称)(そのうち学会で発表できれば)で長持ちしている症例も多くあるので、あらゆる方法を検討していきたいと考えている。学会では、シャントマッサージの必要性なども数多く紹介されていました。ウロキナーゼも6万⇒12万に増量や、ヘパリンを2CC加えてウロキナーゼと共に混注するなども、血栓除去に有効だとの報告もありました。

現在は、エコー所見が主流になりつつあり、侵襲が大きい造影は出来るだけ行わないほうがいいという流れになってきています。当院もエコーでのモニタリングに力を入れ、詳細にシャントをサーベイランス出来る技術の習得は、技士におかれましても必須であると考えます。

院長ブログ/小山すぎの木クリニック

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