2016.5.20

“The role of SGLT inhibitors in type 2 diabetes : when and how should we use them?”

Professor Lawrence A Leiter

Medicine and Nutritional Sciences, University of Toronto

2016年5月20日

アストラゼネカ、小野薬品共催で上記のTVシンポジウムが開かれました。

Leiter教授は、糖尿病領域での代表的な臨床試験である、DCCT、ACCORD、ADVANCEなどに携わったとても有名な教授のため、今回、日本人向けにTVシンポジウムで講演していただけるとのことになりました。

SGLT2阻害薬は、実に多くの製薬会社が競い合って開発・販売しているため、どんなものを使ったら良いか、どのように使ったら良いか、世界的権威の先生から、TVを通して直接教えていただけるとのことで、とても楽しみにしておりました。

ブドウ糖は、腎糸球体で原尿として180g/日 前後が出てくると、近位尿細管のS1,2 SegmentでSGLT2より160gが、S3SegmentではSGLT1より20gが吸収され、正常では尿中には出ません。しかし、高血糖の状態では、糖の再吸収能力を超え、尿糖が出現します。私たちは尿糖が出ると、どうにかして尿糖が出ないよう、インスリン製剤やDPP4阻害剤、その他多くの薬を使用し、αグルコシターゼ阻害薬のように便から糖を出してしまうことまでは考えつきますが、尿から糖を逆に出して、糖尿を治してしまおうという発想には、大変驚いた記憶があります。SGLT2は、糖を尿として多く出してしまうため、浸透圧利尿での脱水、老人ではそれに伴う脳梗塞、心筋梗塞などが出やすく、70歳以上の高齢者では原則適応外など、使用が難しい印象がありました。

今回、Leiter教授より、カナグリフロジン(カナグル)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、エンパグリフロジン(ジャディアンス)3種の差異についての講演で、現在の試験データを元に以下のような説明がありありました。

①(メトフォルミン+フォシーガ)投与群は、102週経過後、メトフォルミン単独群と比べて、体重が平均3kg減少した。

②フォシーガ(5)+インスリン療法群は、インスリン単独投与群に比べてHbA1cが0.6%減少する。

③上記3種のSGLT2阻害剤とメトフォルシン併用群では、HbA1cの減少が、フォシーガ(-1.2%)>カナグル(-0.73%)>ジャディアンス(-0.5%)となった。

④HbA1c 8.5%以上の群では、HbA1cの減少が8.5%以下群に比べ有意差をもって良好である。(-1.22% vs -0.4%)

⑤EMPA-REG Outcome study(ジャディアンス)での心不全、Cardiovascular deathに関してリスクが35%低下した。

⑥Dapagliflozin CV meta-analysis にても心不全入院を明らかに抑制した。

⑦SGLT2のpleiotropic effectについての説明

⑧SGLT2阻害剤が心不全を抑制した理由

⑨現在、教授が行っている患者1.7万人を4~5年追跡調査した最大規模の試験DELCARE-TIMI 58(Dapagliflozin Effect on CardiovascuLAR Events)についての中間報告においても、特に著明な副作用はみられず、とても安全な薬である。

当院にも多くの糖尿病患者様がいらしており、今後の診療にとても役立つ講演でした。