院長ブログ

胸の痛みについて

2018.1.24 院長ブログ

胸の痛みについて

 今回はメタボの動脈血管障害の行き着くところ、一番怖い心筋梗塞を含め、胸の痛みについて考えてみます。

 太ったお父さんは、ぷよぷよしたおなかをお風呂で擦りながら、「そろそろ子供も学校に行くし、長生きしなきゃ嫁さんや子供がかわいそうだから、少し運動でもして痩せるか!」と一念発起し、風呂場の体重計の上で誓っているはずです。しかしそのうちの何人が実行できるかというと、外来を受診するメタボ様方を拝見していると、心もとない状況です。じきに、寝ている時に、忙しく働いている時に、胸の痛みがきます。そうなると大部分のお父さんが、「やはり狭心症か心筋梗塞では?」と青くなって来院されます。「先生、急にズキンと胸が痛くなって、心配だから調べてくれ!」とやや照れながらも目は真剣に訴えて来ます。当院での経験ではズキンが1回ぐらいではまず狭心症ではありません(例外は否定できませんが!)。すぐに心電図をとります。大部分のメタボの患者さんは、心電図に異常がなく、狭心症は考えにくく、その場合本当は心電図をつけて運動をして変化があるかを検討するべきですが、多くの患者さんは面倒なため、嫌がります。そのためホルター心電図といって、胸に簡単な電極を1日付けてもらい、胸痛があった時に心電図に変化があるかどうかを見ます。「思いっきり走ったり、運動をしっかりして変化を見ましょう」と伝えますが、大概の方は、心電計をつけると静かにしており、あまり動きません。またほとんどの方がその間、胸痛発作は起こしません(これはあくまでも当院だけの経験です)。ここまで行うとお父さんも少し安心します。

 しかし、ここで安心してはいけません。このような場合、胸部・腹部のCTを撮ります。するとどうでしょう!心臓に、白い線が見えます。これは冠動脈石灰化といって、冠動脈が細くなっている証拠です。かつ腹部の大動脈にも結構白い線が見えます。やはり動脈硬化が人知れず進行しているのです。さらに首に超音波をあてると、頚動脈の内側がコンモリ盛り上がっています(これをプラークと呼んでいます)。これがあるということは当然全身の血管も同様な所見があると考えていいと思います。こうなると俄然今までの不摂生を後悔します。テレビのCMに出てくる保険にでも今から入ろうかと迷う時期で、座して死を待つ心境になってしまいます。

 でも、安心して下さい。最近の報告では、悪玉コレステロール/善玉コレステロール比を1.5以下にすると冠動脈内のプラークが小さくなる事がわかってきました。このような場合、医者に言われた通り、コレステロールを下げる薬をしっかりと飲んで下さい。またタバコは絶対に吸わないで下さい。そして適度の運動とダイエットをして、メタボを退治して下さい。そうすれば脳梗塞、心筋梗塞はかなり予防できます。このようになった場合、是非心配せずに医者の言葉に耳を傾けてください。

 胸の痛みについては、狭心症以外にいろいろあります。胸痛があった場合、以下のことを思い出して下さい。

●狭心症の痛み/特徴は、まず心臓が掴まれたような痛みが2~3分、少なくとも5分以内には消失します。それ以上続けば心筋梗塞の疑いが強くなりますので、大至急救急車を呼んで、循環器内科と書いてある病院に行って下さい。仮に心筋梗塞でなかったとしても、大丈夫、笑って言えばいいです、「よかった!」と。その他糖尿病の方は痛みがないこともありますので、ドキドキして気分が悪い場合、同様にして下さい。

●逆流性食道炎(逆食といいます)の痛み/狭心症の胸痛と間違えるのは、逆食です。逆食は食道ヘルニアがあると成り易く、胃酸が食道に逆流して、食道に炎症を起します。食道は心臓の真下にあるため、胸痛が起こります。同時に多くはゲップや胸焼けがありますので、消化器の先生にご相談下さい。最近はとてもいい薬がありますから安心して下さい。

●帯状疱疹の痛み/ヘルペスウィルスが肋間神経に侵入すると、ズキンズキンと片頭痛の様な感じの痛みが胸にきます。1週間もすると皮膚にツブツブが出現して、その場所がピリピリしてきます。特効薬があり、早く飲めば早く治ります。ひどくしてしまうと半年以上痛みが続くことがありますので、できるだけ早い治療が必要です。たいてい風邪をひいたり、睡眠不足、ダイエット、糖尿病などの免疫力が低下した場合に現れますので、なった場合はしっかり食べて、よく寝て下さい。

●肺がんの痛み/これはタバコとは関係ない、中年女性に比較的多い、「腺癌」があります。腺癌の多くは胸膜に浸潤するため、呼吸すると痛みが変動することがあり、かつ心臓と遠い場所にできた場合、明らかに狭心症とは異なるとわかります。胸部レントゲンでは小さいとわかりにくく見逃す確立が多いため、疑われたらCTの撮影をお勧めします。

●その他の痛み/多くの痛みの疾患(乳がんを含め)はありますが、内科では以上の疾患が多く見られますのでこれを参考してお医者さんにご相談ください。ただし若い女性(乙女)の胸の痛みは当方ではわかりませんので、ご両親、ご友人にご相談下さい。

院長ブログ/小山すぎの木クリニック