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2019.7.11 ブログ

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「リンと食事指導」린과 식사지도 用餐指导
キッセイ薬品

ビタミンDは、カルシウムの吸収を促す働きをもっています。しかし、腎臓の機能が低下するとビタミンDの働きが障害されるため、カルシウムが食事によって体内に吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。また、尿中へのリンの排泄機能が低下するため、血液中のリン濃度が上昇します。慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の患者さんでは、カルシウムとリンの血中濃度の異常を調節しようとして、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の量が増加します。このような状態を「二次性副甲状腺機能亢進症」とよびます。PTHは、骨から血液中へとカルシウムを移動させる働きをもつため、PTHが増え続けると骨のカルシウムが減少し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。

二次性副甲状腺機能亢進症がさらに進行すると、高カルシウム・高リン状態が持続して、血液中で過剰になったカルシウム・リンが血管壁の石灰化を起こします。このように、CKDでみられるカルシウム・リン・PTHの異常により引き起こされる病気を「慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-mineral and bone disorder:CKD-MBD)」といいます。

透析患者さんの血液検査の目標値は、リン値3.5~6.0mg/dL、補正カルシウム値8.4~10.0mg/dL、PTH値60~180pg/mLです。リン・カルシウム・PTHをコントロールするくすりには、食事に含まれるリンと結合して体外へ排泄する「リン吸着薬」や、腸管からのカルシウム吸収を助けて骨を守る「ビタミンD製剤」、PTHの産生を抑える「カルシウム受容体作動薬」があります。食事療法、十分な透析、薬物療法を行っても二次性副甲状腺機能亢進症が悪化する時には、早めに副甲状腺摘出術や副甲状腺PEITを検討します。

リンは食事によって体内に取り込まれるため、リンを多く含む食品を制限します。リンを多く含む食品としては、肉や魚といった高タンパク質のもの、乳製品、スナック菓子や加工食品などがあります。CKD患者さん用の低リン食品がありますので、上手に活用してみるのもよいでしょう。

食事指導・管理・制限は大切な事ですが、食事を楽しんでいただくことが最優先にあるべきです。栄養士さんに相談出来る体制を築く事も必要です。食べたいものを我慢するのではなく、栄養士さんに相談するともしかしたら、食べたいものが食べられるかも知れません。

 

 

 

院長ブログ/小山すぎの木クリニック

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